在宅医療・訪問診療におすすめのレセプトチェックソフト3選

レセプトチェックソフトは、膨大で複雑な医療報酬ルールに基づく書類作成業務を、正確かつ短時間でこなすために欠かせないツールです。導入にあたっては、クリニックごとの課題に寄り添う機能を搭載したものを選定しましょう。この記事では在宅医療・訪問診療におすすめのレセプトチェックソフトを3つ、詳しく解説しながら紹介します。

在宅医療・訪問診療に必要なレセプトチェックソフトの機能

在宅医療や訪問診療は、医療機関に通院できない、あるいは通院が難しい患者のために、医師や看護師などの医療従事者が患者の自宅や介護施設・グループホームなどの施設へ訪問して医療サービスを提供する仕組みです。

高齢者や障害をもつ人、終末期の患者など、通院が負担になる患者にとって、医療ケアを身近な場所で継続して受けられる重要なサービスです。一方で、外来医療・入院医療と比べて、訪問先・回数・加算要件などが一層複雑になるため、レセプト作成業務が煩雑になりやすい課題を抱えています。

これは、複雑な算定ルールや多職種の連携、訪問実績の正確な管理が求められることが原因です。これらの課題を放置すると、返戻・査定が増加したり、診療報酬が適正に請求できなかったり、経営面に大きな影響を及ぼしてしまいます。

その対策のひとつが、在宅対応のレセプトチェックソフトの導入です。在宅医療・訪問診療に必要なレセプトチェックソフトの機能として「訪問回数・対象施設の種類による自動チェック」が求められます。同居家族への訪問診療など、施設種類・訪問目的・回数が異なると点数や加算ルールが変わります。

そのため、訪問頻度の管理、居宅・施設別の算定要件を自動的に判定できる自動チェック機能は必須です。また「往診料・訪問診療料および加算の要件確認」機能も重要です。

在宅患者訪問診療料、特定施設入居者生活介護対応の診療料などの種類、各種加算に対する訪問時間帯・診療時間・診療時間・状態などの要件・月の訪問回数制限などの条件に対してレセプトチェックが自動照合し、算定条件を満たしていない場合に警告を出します。

在宅医療は、訪問看護ステーション、薬局、ケアマネージャー、施設担当者など多職種連携が必要です。そのため、連携加算を算定する際に、他の医療機関・職種との情報共有や連携状況をソフト内で確認・管理できると便利です。

「複数ステークホルダーとの関わりチェック」機能があれば、必要書類の記載漏れや、他機関との連携が不十分な場合のエラーを早期発見できます。在宅療養指導管理料や在宅患者訪問褥瘡管理料など、一定期間継続して算定するケースの履歴管理が求められる場合「複数月にわたる連続算定管理」機能が必要です。

何か月連続で算定しているか、区切り月（初回月・最終月）の加算有無などを手動で把握するとミスが発生しやすいですが、ソフトを活用して履歴を参照して自動計算・チェックすることで長期的なケアに対応しやすくなります。

自由診療や実費として交通費・時間外料金を請求する場合「訪問に伴う交通費や時間帯管理」機能があると役立ちます。レセプトチェックソフトで保険請求対象外の費用を管理するケースもあるため、実費と保険請求の区分を明確に扱える仕組みがあると便利です。

これらの機能を備えたレセプトチェックソフトを導入することで、業務効率化と請求精度アップが実現できます。また、クラウド型・モバイル対応のソフトウェアは、自宅や訪問先での記録記入が多い在宅医療で特に有効です。

インターネット経由でどこからでも最新版のチェックソフトをつかえるクラウド型や、タブレット・スマホからアクセスできる仕組みは、現場の柔軟性の向上に貢献できることでしょう。

ただし、セキュリティ面への注意が必要となるので、データ保護実績や仕組みがしっかりしているかを前もって確認しておきましょう。

在宅医療・訪問診療のレセプト点検業務を効率化する方法

在宅医療・訪問診療のレセプト点検業務を効率化する方法として、最も効果が高いのは「専用または対応機能を備えたレセプトチェックソフトを導入」することです。

在宅医療特有の算定ルール・加算要件に対応したチェック機能を持つソフト、たとえば訪問回数や施設種類、在宅患者訪問診療料・往診料・各種加算の要件を自動判定する機能があるものを活用することをおすすめします。

在宅療養指導管理料・在宅患者訪問褥瘡管理料など複数月にわたる算定管理を自動で行い、長期記録を一元管理してくれる機能があれば、なお効率向上に貢献します。医療安全への寄与を期待する場合は、併用禁忌・投薬日数制限チェックを合わせて行えるタイプが適しているでしょう。

これらの機能を備えたレセプトチェックソフトを導入することで、訪問診療特有の算定漏れや誤算定を防ぎ、返戻・査定リスクを大幅に低減できます。チェック業務をシステムに任せることで、事務スタッフの負担が軽減し、より多くの時間をケアや診療に回せます。

「電子カルテや訪問記録システムとの連携」もレセプト点検業務の効率化につながります。電子カルテや訪問診療記録ソフトとレセプトチェック機能を連携させることで、入力の二重化や転記ミスを削減可能です。

訪問先でタブレットやスマートフォンなどのモバイル端末を使い、リアルタイムで診療内容やバイタル情報などを入力し、直接レセプトに反映できることが理想です。転記作業がなくなれば、作業効率が向上するとともに、ヒューマンエラーを回避できます。

訪問診療の記録とレセプト作成が連動すれば、後追いで行うレセプト点検の手間も緩和されます。在宅医療・訪問医療特有の算定案件をスタッフ全員が共通理解できるよう、定期的な勉強会やマニュアル更新を実施することも業務効率化に有効です。

そうすれば、ソフトのエラー指摘だけに頼らず、必要最低限の制度理解をもとに業務を進められます。これにより、臨機応変な対応がしやすくなるとともに、担当者ごとの知識・経験の差を縮めて作業の属人化を防止します。

在宅医療・訪問診療向けレセプトチェックソフトの選び方

在宅医療・訪問診療向けのレセプトチェックソフトを選ぶ際には、在宅医療・訪問診療特有の算定ルールに対応したソフトを選ぶことが肝心です。

ポイントは、訪問診療料・往診料の区別や、在宅加算の自動判定が可能かどうか、居宅や各種施設への訪問で異なる算定要件を正しくチェックできるか、継続算定や月ごとの区切りを自動管理できるかです。

選ぶ際には、ベンダーに「在宅医療・訪問診療特化した機能・実績があるか」を必ず確認しましょう。また、加算要件一覧やエラー画面のサンプルを確認し、在宅ならではの複雑な条件（訪問回数、施設種類、夜間・休日加算など）に対応しているかをチェックしましょう。

また、訪問スケジュール管理や実施実績の登録がスムーズに行えることもポイントです。同一患者への訪問日や回数をソフト内で一元管理し、自動的にレセプトに反映できると理想です。

訪問予約や実績を入力するだけで、必要な算定ルールが自動的に適用される仕組みを持つソフトを選ぶと、二重入力や入力漏れのリスクを削減できます。また、ソフト選びには操作性やユーザビリティも重要です。

画面表示や操作フローがシンプルでわかりやすいか、エラーや警告が出た際に、具体的な修正ポイントを明確に提示してくれるか、在宅医療に詳しくないスタッフでも使いやすいか、といったポイントを確認しましょう。

必要ならデモ版を試用したり、操作画面をスクリーンショットなどで確認したりするとよいでしょう。操作に時間がかかりすぎたり、画面遷移が煩雑だったりすると、現場のストレスが大きくなります。

そのため、実際に業務にあたるスタッフの意見を取り入れて判断することが大切です。2年ごとの診療報酬改定や随時発出される在宅医療関連の通知・Q&A・留意事項などをソフトが迅速にアップデートしてくれること、ベンダーへのサポート体制を事前に確認しておくことも、後悔のないソフト選びにつながります。

とくに法改正・最新情報への対応力に関しては、クラウド型だと自動で改訂情報が反映されやすいです。しかし、買い切り型（オンプレミス）の場合は手動でのバージョンアップが必要になるケースがあります。そのため、情報更新の方法や費用についてチェックしておくことが大切です。

在宅医療・訪問診療におすすめのレセプトチェックソフト3選

最後に、在宅医療・訪問診療におすすめのレセプトチェックソフトを3つ紹介します。

レセプトチェッカーLS

レセプトチェッカーLSは、クラウド型のレセプト点検ソフトです。別途作成したレセプトをクラウドサーバーにアップロードするだけで、病名点検・精密点検を受けられます。AI学習機能を実装しており、自院で点検済みのレセプトを学習させることで、点検精度をアップできます。

導入機関からは点検画面の見やすさや、チェックのしやすさが好評で、レセプトチェック時間の95%短縮、審査・返戻件数の86%削減実績があります。このソフトは、2か月の試用が可能です。

レセプト博士NEO

レセプト博士NEOは、医療機関の規模・特徴に合わせて4タイプのソフトを提供しています。簡単な画面操作で高精度なレセプトチェックが受けられ、チェック結果は複数フォーマットから選んで利用できます。

査定返戻管理機能を標準搭載していること、DPC対象病院向け機能が充実していることがセールスポイントです。適応病名、回数、包括・背反・禁忌など複数項目からチェックを受けられます。

レセチェッくんPro

レセチェッくんProは、診療所向けに開発されたレセプト点検ソフトです。PC操作に不慣れでも簡単に操作できること、高精度のデータベースを利用することで高レベルなチェックが可能なこと、都道府県ごとのルールや過去の返戻情報をもとに独自進化させられることが特徴です。

基本情報の未入力、初診料、点数、適応病名、禁忌病名、重複薬品、用量オーバー、同時算定不可などの各種チェックが受けられます。

まとめ

在宅医療・訪問診療は、外来診療や入院診療と比べて算定ルールや請求要件がさらに複雑です。患者宅や施設への訪問日数・回数、訪問先の種類（居宅・施設など）、在宅患者訪問診療料や特定施設入居者生活介護対応など各種加算要件の確認など、項目が多岐に渡ります。そこで、レセプトチェックソフトを活用することで作業の短縮・効率化が見込めます。ソフトを選ぶ際には、在宅医療・訪問診療特有の算定ルールに対応しているかを確認しましょう。ベンダーに在宅医療・訪問診療に特化した機能や実績はないかを確認し、加算要件一覧やエラー画面のサンプルを確認しましょう。