クリニック・診療所におすすめのレセプトチェックソフト3選

レセプトチェックソフトは、複雑な医療報酬ルールに基づく書類作成業務を効率化する強力なツールです。導入にあたっては、クリニックが抱える課題を解消できる機能を搭載したものを選びましょう。この記事ではクリニック・診療所におすすめのレセプトチェックソフトを3つ、搭載機能や導入効果について詳しく解説しながら紹介します。

レセプトチェックソフトを導入するメリット

レセプトチェックソフト（レセプト点検ソフト）は、医療機関や薬局などが作成する診療報酬明細書（レセプト）に対して、記載内容や算定ルールに誤りがないか自動的に検証し、問題があれば指摘するシステムのことです。

日本では国民皆保険制度を採用しているため、全国民が何らかの公的保険に加入しています。保険者の数が多く、保険給付ルールも細分化しているため、幅広い分野で調整が必要です。

医療費の一部負担金や高額療養制度など多岐に渡る補助・軽減措置との兼ね合いによるルールの複雑化、全ての医療行為に対する細かな点数設定、国の施策・政策目的を反映した加算・減算ルール、頻繁な法令・通知の変更、多様な医療現場への対応など診療報酬制度がとても複雑になっています。

そこでレセプトチェックソフトを活用することで、これら定められたルールを自動的に検証・指摘を受けられるため、医療事務業務の大幅な効率化と精度向上が期待できます。

クリニック・診療所に必要なレセプトチェックソフトの機能

小規模なクリニックや診療所でレセプトチェックソフトを導入する際に、重視したい機能について解説します。

入力内容の自動チェック機能

一つ目の機能は「入力内容の自動チェック機能」です。これは、患者情報（氏名・生年月日・性別・保険者番号）などの入力漏れや誤りを自動的にチェックする機能です。日付の整合性や、必要項目の未入力検知など、基本的な形式エラーを指摘します。

この機能の効果は、作業時間の短縮とヒューマンエラーの低減です。手作業でチェックしていた時間が削減され、入力ミスなどの単純エラーを未然に防ぎやすくなります。また、スタッフがミス訂正や再請求対応に追われることが減るため、本来の業務に集中しやすくなり、業務効率の向上も期待できます。

診察報酬点数表・算定ルールの反映

二つ目の機能は「診察報酬点数表・算定ルールの反映」です。これは、厚生労働省が定める診療報酬点数表や関連法令、通知の改定内容を常にアップデートする機能です。他にも、加算要件のチェック、組み合わせ不可の行為や薬剤算定の制限を自動判定します。

この機能により、ご請求による返戻・算定リスクを軽減できます。小規模の診療所ほど、個々のスタッフの知識に頼りがちです。しかし、最新ルールが反映されたシステムが自動チェックすることで誤請求を防げます。請求内容が正確になることで、保険者側とのトラブルが減り、診療所の信頼性向上につながります。

投薬日数や併用禁忌のチェック

三つめの機能は「投薬日数や併用禁忌のチェック」です。これは、薬剤ごとの最大投薬日数や、併用時に問題が生じる組み合わせを自動で判定したり、頻回投薬や長期投薬の制限に対するアラート表示をしたりする機能です。

併用禁忌や過剰投薬をシステムが検知することで、患者に対する不適切な処方を防ぎやすくなり、医療安全が確保できます。また、投薬制限を超過した場合などの返戻理由を事前チェックできるので、再請求対応の手間が減る効果もあります。

必要となりやすいその他の機能

他にもエラー箇所の具体的な指摘・修正提案機能や、レセプトの一括チェックと自動修正/補助入力機能も有効です。エラー内容が明確になれば、スタッフが素早く修正対応できます。そして、エラー原因を理解する過程で点数算定ルールの知識が向上し、将来的なミスの削減につながるでしょう。

また、一括チェック機能は一定の品質を保ちつつ大量作業が可能となるため、月末や月初めなどレセプト締め処理が集中する時期でも作業時間・労力削減が実現します。

クリニック・診療所に最適なレセプトチェックソフトの選び方

一般的な小規模の診療所やクリニックでは、人的リソース不足や経営基盤の脆弱性、多岐に渡る業務の煩雑化、IT・システム化の遅れ、地域医療の担い手としての負荷、スタッフ教育・スキルアップの困難さといった課題を抱えていることが少なくありません。

医療制度・技術の高度化や地域医療への要請が高まる一方で、クリニック側のキャパシティには限界があります。そのため、適切なIT投資やスタッフ教育、地域連携・専門分化などの対策を講じないと、日々の業務や経営が圧迫され続ける状況に陥りがちです。

このような課題を解消するために、レセプトチェックソフトや電子カルテなどの導入は大きな効果があります。

最新の診療報酬・法令への対応力

レセプトチェックソフトを導入する際は、最新の診療報酬・法令などへの対応力に注目します。厚生労働省の通知や保険者のルール変更など最新情報を自動アップデートできる仕組みがあること、過去の改定時のアップデート実績やサポート体制が十分整っているかを確認しましょう。

インターフェイス・操作性

また、インターフェースや操作性も重要です。画面がわかりやすく、手順がシンプルでスタッフが直感的に操作しやすいソフトを選ぶことで、一人ひとりに余裕をもったトレーニング時間を確保できなくても習熟しやすくなります。

コストが適正であるか

コスト（初期費用・ランニングコスト）が妥当であることも大切です。

経営基盤がぜい弱でIT投資を一度に大きく行うのが困難なケースでは、クリニックの予算や規模間にシステム導入費用があっていること、メンテナンス費用やアップデート費用がどの程度かかるのかをしっかり検討する必要があります。

導入後のトータルコストを見誤ると、かえって経営負担が増大してしまうリスクもあります。

その他の選定ポイント

また、導入サポートやアフターサポートが充実していることや、自クリニックで導入している他システム（電子カルテ・医事会計システムなど）との連携が図れること、機能の過不足がないことなどをチェックすることも重要です。

また、導入前に同規模のクリニックや診療科目が近い医療機関での導入実績や評判を確認すること、メーカーやベンダーの信頼性、業界での実績や評価の調査、レビューや導入事例を参考に実際の使い勝手やサポート面をチェックすることも、レセプトチェックソフト導入効果の最大化に貢献します。

クリニック・診療所におすすめのレセプトチェックソフト3選

ここからは、クリニック・診療所におすすめのレセプトチェックソフト3選を紹介します。

レセプトチェッカーLS

DX Careが提供するレセプトチェッカーLSは、医療報酬点検支援システムで、多くの保険者、医療機関に対して正しいレセプト作成をサポートするクラウド型ソフトです。レセプト作成・修正ソフトではないため、別途レセプト作成が必要な点に注意です。

ソフトはWEBブラウザ上で動作するため、OS（Windows/Mac/Linux）を問わず、操作しやすい設計となっています。ログインしたその日からすぐ使用でき、プログラム更新やマスター更新しなくても、常に最新の状態で利用できることがメリットです。

内蔵された算定ルールは、医薬品の適応症、投与量、投与期間の設定に加えて、支払い基金の公開ルール、電子点数表です。AI学習を取り入れることで、初期設定（学習）、レセプト点検、テキスト照合、候補病名の選定の最適化が実現でき、レセプトチェック時間95%短縮、審査・返戻件数86%減少を達成しています。

蓄積されたレセプトデータから、収益状況を時系列分析・個別項目分析でき、月々の経営分析に利用できることも魅力です。利用者からは「学習のさせかたが簡単で使いやすい」「一つの不合格レセプトを修正することで自動的に同じ事例にも反映してもらえる」という意見が寄せられています。

べてらん君collaboration Plus

べてらん君 collaboration Plusは、デジタル高速処理とアナログ的なインターフェースの見やすさを兼ね添えた、レセプト院内審査支援システムです。1万件のレセプトを8分で処理でき、目視にかかる手間と時間の軽減に効果があります。

直感的で見やすい画面レイアウトや現場に合わせたチェック項目のカスタマイズ、複数チェックや出力を自動実施できる「スマートチェック機能」が特徴です。査定・返戻対応のためのデータ取込み・再請求業務のサポートもカバーしています。

そのため、増減点連絡書・返戻通知書をデータで取り込むことで、CSVでの表示や集計・印刷・データ出力が可能になります。再審査請求書の管理、申請理由書の発行にも対応しているため、さらなる業務効率化が可能です。

エラー内容集計により、エラー件数の多い項目や金額の高い順での表示ができ、スタッフが「重点的にチェックすべきポイント」を確認・学習できます。システムを使い続けることで、スタッフのレセプト作成スキルや知識の向上、および業務改善をはかれることが魅力です。

Mighty Checker Cloud

Mighty Checker Cloudは、株式会社AISが提供する診療所専用のクラウド型レセプト点検ソフトです。このソフトは、使い込むほど作業効率がアップすることがセールスポイントです。

初期費用不要、点検マスター自動更新、厚生労働省・経済産業省・総務省の3省が出す、3つのガイドラインに準拠したデータセンターを使用できます。

ソフト操作は3ステップで構成されており、医療会計システムから院外処方データを含んだレセプトデータを作成し、Mighty Checker Cloudでデータをアップロード、点検完了後通知メールでレセプト表示・印刷をおこないます。

また、エラー警告分のレセプトのみを確認することでペーパーコストを削減できます。これにより、再請求処理の容易化、候補病名の選択による病名もれ補完が可能です。

指導料・医学管理料などの算定漏れ防止、査定・返戻数削減による収益改善が見込めるほか、医師やスタッフの時間外業務削減が期待できます。約1か月の無料トライアルサービスもあるので、実際に使ってみてから本格的な導入を検討できます。

まとめ

小規模の診療所では、人的リソースや業務分担の面で制約が大きくなりがちです。そこでレセプトチェックソフトを導入することで、作業の自動化・標準化、返戻リスクの抑制、スタッフ教育の効率化を進められます。そして、長期的には業務全体のスムーズ化と経営安定が期待できます。レセプトチェックソフトを導入する際には、入力内容の自動チェック機能、診療報酬点数表・算定ルールの反映、投薬日数や併用禁忌のチェックなどの機能を搭載したものを選ぶことが大切です。そうすることで、エラーの早期発見・修正、スタッフの負担軽減、返戻リスクの最小化が期待できます。