
医療機関が実施するレセプト請求の内容にミス・不備がある場合にはレセプトが差し戻され、再請求の手続きが必要です。今回は、レセプト再請求時の基本フローや対応のほか、レセプト請求のオンライン化や、レセプト再請求に関連するよくある質問や解決策について詳しく解説します。医療機関で働いている人は、ぜひ参考にしてください。
そもそもレセプト再請求の基本フロー
レセプト再請求とは、請求が認められなかったレセプトの差し戻しに対して再度請求を実施することを指し、レセプトの差し戻しはレセプト返戻とも呼ばれます。レセプト再請求は医療機関におけるレセプト作成時の不備やミスのほか、診療自体に問題がある場合などで起こり得ます。
レセプト再請求が行われると医療機関側でレセプトの修正を実施し、次月の請求で提出することになるため、報酬受け取りがその分遅くなる点に注意が必要です。ここでは、レセプト再請求の基本フローを詳しく解説します。
通常のレセプト請求実施
レセプト請求を実施すると、請求の次月に保険者・審査支払機関による審査が行われます。
審査・返戻
審査の結果不備が見つかった場合、請求月の翌々月にレセプト返戻を実施されるのが通常です。レセプトの返戻原因には資格関連・事務ミス・診療行為自体の問題などのさまざまな原因がありますが、返礼されたレセプトには不備の箇所が細かく指摘されています。
指摘箇所の確認と修正
レセプトの不備・ミスを確認したら、必要な修正を実施しましょう。
再請求・再審査
再請求時は書類に不備がないかをしっかりと確認し、最初のレセプト請求の翌々月の10日までに手続きを済ませましょう。再請求時の審査は当月中に行われます。
返戻分の診療報酬の支払い
再審査でミスや不備な見つからなければ、再請求月の翌々月に診療報酬を受け取ることが可能です。再請求の手続きが遅れれば、その分診療報酬の受け取りも遅れることになるため、レセプト返戻を確認したら速やかに対応しましょう。
オンライン化にともなう再請求のシステム改修のポイント
レセプト請求は、2023年4月よりオンライン化されました。以下では、レセプト請求のオンライン化の概要やシステム改修のポイントなどを詳しく解説します。
レセプト再請求のオンライン化について
レセプト請求は、2023年4月よりオンライン手続きが義務化されています。オンライン化の対象となるのは通常の請求のみでなく、再請求も含まれるのが特徴です。つまり、3月度請求分については4月初旬に返戻されるため、オンライン専用のシステムからの再請求を行うことが必要です。
オンライン化によるメリット
レセプト請求をオンライン化することで、請求・再請求を含むすべてのデータを一元管理できます。返戻レセプトをダウンロードして再請求することで、手続きがかんたんになるのも魅力です。
また、レセプト請求のオンライン化により事務的なミスをチェックするシステムも利用できるため、業務効率化・業務負担軽減を実現できます。さらに、オンライン上でデータを管理することにより、セキュリティ強化にもつながるのもメリットの1つです。
オンライン化にともなうシステム改修のポイント
先述の通り、レセプト請求・再請求は現在オンライン化されていますが、システム改修までの猶予措置として紙媒体での再請求も認められています。
しかし、国としては当然紙媒体の廃止を目指しているため、現在オンライン化に対応していない医療機関があれば早急のシステム改修が求められます。
これからシステム改修を進める予定の医療機関は、医事システムを導入することで、正確なレセプト作成とスムーズなオンライン手続きがかなうでしょう。
レセプト返戻でよくある質問とその解決策
レセプト返戻に関するよくある質問として、返戻分の診療報酬の支払いタイミングが挙げられます。通常であれば診療の2か月後に報酬が支払われますが、レセプト返戻の該当部分は手続きが完了するまでは支払われず、翌月から再請求が可能です。
再請求分については、診療報酬請求の3か月後に支払われます。着金の遅れを防ぐためには、レセプト再請求を避けることが何よりも重要です。
ミスのないレセプトを作成には医師による確認や風通しのよい職場環境が不可欠ですが、レセプトのチェックシステムを導入することも有効です。ケアレスミスを防げるのはもちろん、医療事務に携わるスタッフのレベル向上にも役立つでしょう。
まとめ
今回はレセプト再請求の基本フローやレセプト請求のオンライン化に加え、レセプト返戻に関するよくある質問や、その解決策についても詳しく解説しました。レセプト再請求を実施する際の具体的な手続きは、再請求に至った原因により手続きフローが異なります。2023年からはレセプト請求・レセプト再請求の手続きのオンライン化が進められているので、紙媒体での請求を実施している医療機関では、早急なシステム改修が必要です。また、レセプト返戻が行われると事務手続きの手間が増える上、報酬受け取りが遅くなるというデメリットがあります。レセプトチェックシステムの導入によってレセプト作成におけるケアレスミスをなくすなどして、レセプト再請求を減らすための対策を講じましょう。本記事が、レセプト再請求の対応を知りたい人の参考になれば幸いです。