
昨今、病院や調剤薬局では、レセプトコンピュータと呼ばれるシステムを使用してレセプト業務を行っているところがほとんどです。レセプトコンピュータとは、一体どんなことができるシステムなのでしょうか。また、導入の際にはどのようなポイントを比較するべきなのでしょうか。注意点と合わせて解説します。
レセプトコンピュータとは?
レセプトコンピュータは、通称レセコンと呼ばれています。まず、レセプトというのは診療報酬明細書のことで、医療機関が保険者へ報酬を申請する際に使う書類です。医療機関は、このレセプトに記載された内容を元に算出された報酬を受け取ることができます。
レセプトを作成するにあたり、重要となるのがレセコンです。レセコンは、今や日本のほとんどの医療機関が使用しています。なぜなら、レセプト作成における煩雑な作業を効率的に進められるシステムだからです。
レセプト作成以外にも、受診する患者の情報を登録したり、受付や保険証の確認、会計業務、処方箋の発行を行ったりと、普段の業務にも活用できます。従来の紙のカルテが電子カルテに置き換わってくる中で、レセコンと電子カルテを連動させて情報を一括管理できるという強みもあります。
診療の際に電子カルテに必要な情報を入力しておくことで、レセプト作成時にその情報を呼び出すことも可能です。結果として、レセプト作成にかかる作業時間を削減できるようになります。
レセプトコンピュータ導入前に押さえるべき選定ポイント
レセコンには、医科用、歯科用、調剤用の3つの種類があります。それぞれの分野で使いやすいように設計されており、導入前にどのタイプのレセコンが合っているかしっかり検討しましょう。
また、様々な企業からレセコンがリリースされているため、搭載されている機能や利便性も異なります。レセコンを比較し選定する際、どのような点に注目するべきなのでしょうか。
電子カルテとの連動について
レセコンと電子カルテが分かれており連動させることができるタイプと、そのふたつが一体化しているものがあります。普段の業務でどちらの方が使いやすいか、また、既にレセコンや電子カルテを導入している場合はどのように置き換えるのか、かかる費用等も考慮して選定すべきです。
レセコンと電子カルテが一体化しているものは、受付から診察、会計までをまとめて管理することが可能なため、より効率的に作業を行えるでしょう。
使いやすいデザインになっているか
実際に作業をする際に使いやすいデザインに設計されているかどうかも、重要なポイントです。ボタンの配置や文字のフォント・カラー、レイアウトなど、使用者が触れる情報のことをUI(ユーザーインターフェース)と言います。
このUIが使用者にとって使いにくかったり、わかりにくかったりするものならば、日々の業務の効率が落ちてしまいます。実際に作業をする人にとって、わかりやすい配置であるものや、読みやすい文字になっているものを選ぶとよいでしょう。
提供形態
レセコンには、クラウド型とオンプレ型があります。クラウド型とは、データをインターネット上で管理するものです。インターネットさえ繋がっていれば、他のデバイスや医療機関から離れた場所でも操作が可能です。
しかし、ネットが不調の際に使えないことや、データをネット上に保存することでセキュリティ面の懸念が残るデメリットもあります。一方、オンプレ型では自社のサーバーに情報を残すため、ネットがなくても使えます。
ただし、離れた場所での操作が不可能なことや災害時に全てのデータを失ってしまうというデメリットは無視できません。なお、一般的にはクラウド型の方が費用が抑えやすいです。
レセプトコンピュータ導入前に確認すべき注意点
レセコンを導入する際には、事前に確認しておくべきことがあります。具体的には、サポート体制や導入費用、期間に注意しましょう。
サポート体制について
レセプト業務は、期限までに行う必要があります。万が一トラブルが発生した場合に、どのようなサポートを受けられるのかを事前に確認しておきましょう。対応してもらえる時間帯や、リモートでの対応が可能かどうかも確認すべきです。
導入にかかる費用
レセコンは、各社から様々なものがリリースされているため、導入にかかる費用を知ることも大切です。買い切りのものや月額制のもの、台数制限があるものや別途端末代が必要なものなど、料金携帯も様々です。月間、または年間でかかる費用と導入後の効果をそれぞれ確認するとよいでしょう。
導入までの期間
レセコンを導入するまでに、どれぐらいの時間がかかるかも事前確認が必要です。導入までに長い期間が必要だと、理想の日程に開業ができない可能性があります。
まとめ
医療機関での業務において、レセコンは非常に重要な役割を果たしています。ほぼ必須ともいえるレセコンを導入または買い替える際には、しっかりと比較・検討しなくてはなりません。そのためには、まず使用目的を明らかにし、各社の製品の特長を的確に捉えることが大切です。また、導入にかかる費用やもしものときのサポート体制についても事前に確認しましょう。導入後に後悔することのないよう、準備をしておくことが大切です。